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電子文書で紙に足と羽が付いた

紙の文書媒体の電子化が大きな関心を呼んでいる。
ノートPCの普及によって電子文書のモバイル化が進んだが、アマゾンのキンドルやアップルのiPadの出現は一層その流れを加速した。
こうした事情は、最新のインターネット利用技術クラウドの出現と共にますますその勢いを増している。
例えば、Appleの最新の多機能電子端末iPad が従来、紙を中心に利用されてきたドキュメント利用環境にもたらす変化とは具体的にどの様なものとなるのだろうか。
電子ブックや電子文書とは、それは紙ベースのドキュメントがディスプレー上で閲覧可能となる事にとどまらない。
まず、電子文書は例えて言えば、紙ベースのドキュメント類に「足」が付いていて、自由に歩き回る様になる事だ。
電子文書が歩き回る空間はヒトの足とは異なり、大地や道路では無く、電子空間、インタネット空間であり、その速度はヒトの感覚からすればほぼ光の速さに匹敵する。
インターネットにパソコンが繋がり、インターネットに接続する巨大な規模の様々なサーバー上のコンテンツが利用可能となる事で世界は音をたてて変化し始めた。
そして今や、インターネットに接続される端末機器はPCや携帯電話を含む多様な端末機にとどまらず、様々なセンサーを内蔵する機器類もその対象となっている。
その結果、携帯電話によってヒトは常時ネット環境に接続されリアルタイムに電子仮想空間の膨大なコンテンツにアクセス可能となった。
かってパソコンの草創期に、「おい、坊やそんな玩具みたいなコンピュータで何が出来ると言うんだね」と問われて、The Computer is an Amplifier for Your Brain(パソコンは頭脳の増幅器なんだ)とその未来を語った者たちには、その言葉が今やまさに実現しようとしている事を実感するだろう。
今やヒトは携帯電話さえ持っていれば、分厚い広辞苑をいつでも参照することが出来、地図がなくともGPSで自分の場所を、行先までの経路を素早く表示することが出来る。
問題の可決へのヒントは強力な検索システムがWebの情報の海から様々なアイデアを拾いあげてくれる。
読む事のためのドキュメントは、電子化させることで「足」を持ち、電子仮想空間を駆けまわり、ヒトとヒトを再度結びつけその結果素早く新たな集合知を生成する。
これはもはや紙ベースのドキュメントとは異なるものだ。
だからドキュメントの電子化にとって最大の、最重要な課題とは「足」を獲得したドキュメントが誰かに盗まれる、無断で利用される事への危惧とその対策ではなく、「足」を持ったドキュメントが新たに生成するヒトとヒトの関係から、全く新しい「知」をどうしたら滾々と湧き出る泉のように創造することが出来る環境を整える事が出来るかにあるのではないか。

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プロフィール

chinshimokkou

Author:chinshimokkou
坂井 茂
株式会社コミュニケーションサイエンス代表

パソコンソフトウエア業界の草創期から活躍。
大学卒業後、日本経済新聞社勤務、株式会社クイック設立の為出向。
アスキー・マイクロソフトの設立に参加。 日本経済新聞退社。
アスキーマイクロソフト社副社長、マイクロソフトウエアアソシエイツ代表取締役副社長、マイクロフォーカス株式会社代表取締役社長を歴任。
日本で最初のコンピュータソフトウエア専門ショップ「ソフトショップ」を設立。
その後株式会社コミュニケーションサイエンス代表取締役社長。
昨年、社長を後任に託し会長職に就任。

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